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戦時下のバグダッド その② 世界の踊り子達 [中東の記]

その頃のイラクは戦時下ではあったが石油の掘削・輸出はまだ盛んで国家財政にも余裕があり、軍事費以外に農業や社会インフラ等への投資も盛んに行われていた。特にバグダッドや主要都市の上下水道、工業用水、電力・通信設備、肥料工場、及びバスラ港湾設備改善等に多額の予算が投じられていた。
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他方、政府公団の入札では在留外国企業による情報取得合戦、我田引水のプレゼンテーション、表の代理店、黒いねずみ、魑魅魍魎の類も多く出没し、中には正々堂々の入札結果とはならず、思いがけない理由で再入札となったり、本命逸注、逆転受注、失格、等々何でもありで言わば腕力の強いものが勝つビジネス戦国時代の様相を呈していた。

ビジネス戦士の束の間の息休めはやはりアルコール、夜ともなればホテルのバーやレストランを皮切りにバグダッド市内には大小様々なキャバレーが賑わいを見せていた。特に外国人客を主体とする店では世界各国からやって来た踊り子がいた。近隣国のレバノン、トルコや伊、仏、米、に南米コロンビア、アジアでは韓国、等々正に世界中からオイルマネーを求めて蜜に群がる若きメス蜂の群れであった。店にはボーイしかいないので踊り子達が自分の出番が来るまでは客席に回りホステス代わりをやっていた。ジュース1杯飲まれて2万円ほど取られるが何杯でも振舞う豪気な客も又多くいた。

日中は政府公団関係者を駆け巡り、本国との連絡(当時は国際電話はなかなか通じずテレックスが通信の中心だった)に腐心し入札前夜は徹夜になることもしばしばだった。そして時を問わない空襲警報に怯えつつも仕事が一段落ついた時に仲間と夜の街に繰り出すことが楽しみの時間でもあり、ある種狂気の世界でもあった。


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