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赤の広場 [東西徒然の記]

滞在しているホテルモスクワと会社のモスクワ事務所との間にクレムリン宮殿があった。朝夕事務所への往復には必ず「赤の広場」を通ることになるが、赤の広場にはレーニン廟があり、冷凍保存されているレーニンを見学する観光客が絶えず行列をなしていた。微動だにしない衛兵の直立不動の姿勢と衛兵交代時の行進姿はバッキンガム宮殿の衛兵交代に勝るとも劣らぬ見事なものだった。

レーニン廟.jpg
             (レーニン廟)

赤の広場はクレムリン宮殿の前面にあるだけに大層広く、このレーニン廟を見学する人の列がある他は行き交う人々が通り過ぎるだけの何の変哲もない広場だった。ただ時折、VIPを乗せているであろう高級車が警察車に先導されてスピードを上げたままクレムリンに入っていく時は一瞬空気が張り詰めた。

そんな赤の広場に通ずる地下道で夕方ここを通ると必ず声をかけられた。すれ違いざまにちょっとどぎつい化粧の臭いをさせながら日本語で「こんにちは」と声をかけてくる、声の方を振り向くとにっこり微笑みながら、どのホテルに帰るのか、夕食を共にしないかと次々と誘いの言葉が英語で続く。世界共通のビジネスがここ共産国家にも存在していたのだ。駐在員からは決して相手になるなと厳命されているのでいつも無視するが、それでも毎日必ず声をかけられた。こんにちは、と最初だけでも日本語を使うのはけなげな(?)営業努力だろうか、それとも、その一言で獲物を釣り上げた実績があるのだろうか。

冬場の赤の広場.jpg
         (冬の赤の広場)




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