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戦時下のバグダッド その① 灯火管制 [中東の記]

戦時下で灯火管制されている街の風景はやはり異様なものです。街灯は一切無い真っ暗闇の中を車が走る、ライトは光が空に向かわないように上半分が黒く塗りつぶされている、そうまるで上弦の月のように。運転しづらいからと言って徐行すると強盗にやられる恐れがあるのでどの車もスピードを上げている。真っ暗闇、ライトが通らない、それでも車はスピードを上げる、これってやっぱり怖いものです。

借り上げた一軒家の窓は総てガムテープで十字に目張りされている、街中の主なビルの屋上には高射砲が据え付けられて敵機来襲に備えている。バグダッドはイラン国境から約100km程の距離なので敵機が国境を越えると10分程でやってくる。特に早朝4-5時頃に突然の空襲警報で何度起こされたことか。夜間空襲があるとビルの上の高射砲が火を吹く、街のあちこちからまるで花火のようにきれいな閃光が一直線に上空に駆け上がり消えてゆく・・・でもその後が危ない、高射砲弾は重力の影響でいずれ弧を描いて落ちて来る、だから空襲時は絶対に外に出たり屋上に上がったりしてはいけない。

取引先の工事事務所に若い英国人がいたが彼はジョギングが趣味で早朝、夕方の比較的涼しい時間を選んで走っていた。ある時空襲警報が鳴ったがあまり意に介さずジョギングを続けているといきなり至近距離にダッダッダッと弾がかすめ危うく命を落としそうになった。

この時期バグダッドは会社から危険地域、単身赴任限定地域に指定され、1ヶ月5万円の危険地手当が支給されていた。この手当で赴任前に生命保険をかけようと保険会社に申し込んだところ、イラクは戦争地域だから保険の適用外だと言われ愕然とすると共にこの危険地手当ては安すぎるのではないかと思った。
ケルバラ風景.jpg
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