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サウジアラビア ⑰ほどほどがいい [中東の記]

ある年の4月29日昭和天皇誕生日にたまたまリヤドにいた。リヤドは首都だけに宗教的な締め付けは他の都市に比べて一段と厳しいが実は密かな楽しみもあることを知らなかった。
それは天皇誕生日には大使館でリヤド在留邦人を対象にしたささやかなガーデンパーテイーが開かれていたことで、この年幸運にも参加する機会に恵まれた。

プールサイドをメイン会場にして大使館コックによる各種日本料理が並べられていたが、何と言っても最大の楽しみはアルコールだ。大使館は治外法権、日本国領土とも言えるのでこの敷地内では堂々とアルコールを嗜めるのだ。ビール、日本酒、ウイスキーなんでもあった。

パーテイー開始に先立ち大使館より注意喚起があった。即ち、この敷地内では今から提供するアルコールを楽しんで頂くのは良いが、皆さんは普段飲む機会が少ないからと言って調子に乗りすぎないこと、空腹状態で急に飲むと直ぐに酔って気分が悪くなったり或いは悪酔いして自己を失う危険もあるので、まずは食事を楽しみながらゆっくりと味わって下さい、そして大使館を一歩外に出るともはや日本ではないので背筋をピンと伸ばし速やかに車に移動しまっすぐに帰宅してください、間違っても大使館外でふらふらしてはいけません、と懇切丁寧な注意喚起があった。

私たちのグループはまずは腹ごしらえをしようとて握り寿司から頂くことにした。冷酒とお寿司というサウジではあり得ないコンビに舌鼓を打った。すぐ隣に男性3人のグループがいた。建設現場から直行してきたかのような制服姿の中年組だったが、見ているといきなりきついウイスキーをがんがん飲んでいた。大使館からあれほど注意喚起があったのに大丈夫かなあと危惧するほどの豪快な飲みっぷりであった。

やがて宴も終わり私たちは多少ふらつきながらも大使館を出るとすばやく迎えの車に乗り込みホテルに戻った。大使館敷地内では賑やかに楽しく過ごすことができたが、一歩外に出ると一気に緊張感が増すのはやはりこの国ならではの感だった。

翌朝事務所に顔を出すと昨夜のパーテイーの話で持ちきりだったが、やはり危惧した事件が発生していた。私たちの隣で飲んでいた中年3人組が宗教警察に引っ張られて今も留置場に入っているとのこと。大使館からの注意にも拘らず飲みすぎたのであろう3人は門を出てから千鳥足でふらふらと歩いているところを待ち構えていた宗教警察に捕まったようだ。後日聞いたが一緒に仕事をしていた某商社に助け出されるまでに3日を要したとのこと。やはり人間ほどほどが一番良いようだ。

オアシス-デーツ林.jpg
(デーツ林)
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