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サウジアラビア ⑳青と白を指定された [中東の記]

湾岸危機の勃発する少し前にコンパウンドの中で親しくなった英国人にパーテイに誘われた。パーテイ参加の条件として服装は青か白の色物を着用することと言われた。この青か白の着用という条件が一体何をさすのか全く分からないまま参加した。現在と違ってインターネットも存在せず調べようもなく不思議なことを言うなあという程度の感覚だった。

パーテイに参加してどうして青と白なのかと聞くと「ヘンリーレガッタフェステイバル」だからだよと当たり前の如く言われて、えっ、それって一体何なのと尚一層訳の分からない状況におかれたことがあった。

後日調べるとヘンリーロイヤルレガッタは150年の歴史を持つ7月のテムズ川の風物詩で青と白がシンボルカラーとなっており、会場のテントやその社交場に参加する人々の服装も青と白のコンビネーションに限定されていることが分かった。

ヘンリーレガッタ.jpg
ヘンリーレガッタ-3.jpg

そのパーテイの最中に英国人が「人頭税」の是非について論争を始めた。時の英国首相だったサッチャーがそれまでの固定資産税に変えて一人頭いくらという人頭税を導入したことに対する是非を論争していた。

固定資産税に比べて明らかに逆進性が強く資産家優遇、貧乏人圧迫という性格を持った税なので大きな論争を巻き起こしたものだった。

日本人で長期に外国に滞在し日本では非居住者で税金の対象外であれば、例え日本で新たな税が制定されたとしてもここまで熱く論争することはあるまいなと思った。英国の場合は湾岸危機でも見事に証明されたが、いざとなれば海外に展開する自国民の安全を最優先に守るという保証があればこそ、どんな時でも自分は英国国民で英国内のことはいつでも自分の問題だとの意識が消えないのだろう。

日本人の場合は(私の場合は)既に日本の非居住者となり日本の税とは無関係であれば、きっとそこまで熱い論争はしないだろうなと思った。一旦国の外に出れば最早自分の身は自分で守る、母国の政府は当てにならないという感覚の染み込んだ人間との違いかなと思った。ここらが世界のどこにいても大英帝国の一員として誇りを持って生活してきた国民との違いではないだろうか。

グローバリゼイションという言葉を日本でもよく耳にするがグローバリゼイションの骨格を構成する原理原則は何か、そこのところを良く考える方が先決かもしれない。

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