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やりようも色々 [上海雑記]

その頃保税貨物に対する税関の規制が強化され対策に苦慮していた。中国国内市場を対象にした製品いついては、輸入材料は輸入関税を、製品売上には増値税(付加価値税)を支払う義務があったが、中国で加工後最終的に輸出される製品については、材料輸入段階から再輸出にいたるまで総ての取引を保税(税の支払いを留保)のまま転売することが出来た。

この為には関係する各社が保税台帳をもち税関認証を受けながら台帳から台帳に転記する(転廠手続き)必要があった。経済の過熱化を抑える一環でこの転廠手続きが厳格化され所要時間が長期化する傾向になっていた。勿論ある程度の在庫を持っているが次第に綱渡り状況になり危機感を募らせていた。

そんな折当社担当が何度も税関に通っているうちに解決のヒントを掴んできた。担当税関のマネージャーの妻が勤務している会社が鉄スクラップを扱っているとのこと。戦後の日本でもそうであったが当時の中国でも鉄スクラップの需要は強く持ってさえいれば引く手あまたの売り手市場だった。

当社は鉄を加工していたので日常的にスクラップが発生しており、これを定期的に入札形式で販売していたが、入札業者リストにこのマネージャーの妻の会社を加えようというのが当社担当の意見だった。早速連絡を取ったところ喜んで入札に参加してきた。程なくこの業者が3回に1回程度落札するようになった。そうするうちに難儀していた税関手続きが見事にスムースに運ぶようになって来た。

中国には「上に政策あれば下に対策あり」ということわざがあるが正にそれを実感する出来事だった。勿論このアイデアを提案してきた当社社員の賞与も増え関係者総てハッピーになった次第。

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スクラップといえば当社のスクラップ販売は当初男性社員が担当していたが、市況の上がり方に比較して販売単価が若干低いような印象を持っていた。そこで担当を女性に変更してみた。女性が担当してからすぐに単価が上昇し始め市況に同調するようになって来た。或る日この女性担当者から相談したいといってきた。スクラップのバイヤーから自分名義の預金通帳を渡され、預金残高もこんなにあるがこれはどうしたものだろうかと。

勿論私としては、そんなものは即刻業者に返しなさい、もらったりすると必ずやあなたの将来に悪い影響を及ぼすだろうと話した。そして、前任の担当者にどうして急に単価が上がってきたんだろうねと少しいやみを言ってみたが、さあどうしてでしょうねと敵もさるもので堂々としていた。新担当の女性の賞与を増やし、前担当の男性賞与を減額したこというまでもない。

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